第二部「政党との対話~いま国民が問わねばならないこと」発言要旨

目次

※第一部「発足宣言」の様子はこちら

令和臨調とともに国の未来を議論する 二兎を追い、包摂的な経済つくる
岸田文雄 内閣総理大臣・自由民主党総裁との対話

中曽根内閣の国鉄民営化につながった「土光臨調」、平成の政治改革に結実した「21世紀臨調」、遡れば、明治維新の根本にあった「万機公論に決すべし」など、民間の英知がこの国の形を大きく変えてきた。ここに、「令和臨調」が立ち上がり、「統治構造」、「財政・社会保障」、そして、「国土構想」の3つのテーマを議論していくことは時宜を得た取り組みであり、岸田内閣としても非常に力強く感じている。ぜひ、皆様と一緒に、この国の未来を真剣に議論し、必要な改革を実行していきたい。

令和臨調の発足趣意書では、日本の地盤沈下について、強い危機感が示されている。私が昨年の自民党総裁選に出馬した理由も、皆様と同じく、このままでは日本の政治や経済が立ち行かなくなるという持続可能性に対する強い危機感があった。加えて、われわれが大切にしてきた民主主義、自由主義、資本主義といった基本的価値が世界的に守れない、そうした危機感を持って、政権運営にあたっている。

世界が歴史の分岐点に立つ今、新しい資本主義の実現、国際秩序の立て直しを目指してわが国と世界の課題を解決することが、岸田政権に与えられた歴史的な使命だ。資本主義は歴史を遡ると、これまで2回、大きな転換を遂げてきた。レッセフェールから福祉国家、そして、福祉国家から新自由主義への転換である。これまで2回の転換は、市場か国家か、官か民か、振り子のように大きく揺れてきた。新しい資本主義では、市場も国家も、官も民も、すなわち、“OR”ではなく、“AND”でつないでいく。

二兎を追うことで、持続可能で包摂的な経済をつくる。「人への分配と投資」、「科学技術イノベーションへの投資」、「スタートアップへの投資」、「グリーン・デジタルへの投資」、4本柱で新しい資本主義の実行計画をまとめた。今後はその実行に取り組む。

外交・安全保障では、世界の平和秩序を維持強化していくため、5本の柱からなる「平和のための岸田ビジョン」を発表した。

わが国の外交・安全保障において、変えてはいけないものと変わらなくてはいけないものがある。戦後、わが国は一貫して自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を大事にしてきた。77年前、広島、長崎で起きた出来事は今も戦後外交・安全保障の原点だ。

平和国家として、「核兵器のない世界を目指す」という未来への理想の旗をしっかりと掲げること、また、民主主義国家として普遍的価値を大切にして、国際的なルールを守り抜くこと、これは変えてはいけない外交・安全保障の根幹だ。

そのうえで、徹底した現実主義の下、国際情勢の変化に対応することも不可欠だ。北朝鮮、ロシア、中国、わが国の安全保障環境が一段と厳しさを増す中、日米同盟や同志国との連携強化を図るとともに、日本としてやるべきことを着実に進める。

本年末までに新たな国家安全保障戦略を策定する。また、わが国の防衛力を5年以内に抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する。来年のG7広島サミットへ向けて、世界の平和と安定のための新たな秩序をつくり上げるため、全力で歩んでいく。

共同代表、エネルギー政策、防衛力、政治への信頼などを問う

【茂木共同代表】
経済の新陳代謝を促進するために、スタートアップの育成は重要なファクターだが、市場から退出する企業をどのように導くのか。また、ウクライナ問題を受け、日本の防衛力をどう考えるのか。

【岸田氏】
スタートアップ育成のための5か年計画をつくる。日本には、気候変動やデジタル化など社会課題をとらえて、自分は何を貢献できるかという問題意識を持っている起業家が多く、大変心強い。

企業の退出の仕方も、従来型の退出ではなく、新しい技術やイノベーションによって、社会から評価されるようになると、企業自体を売買し、次の事業に取り組む形での新陳代謝も増えている。こうした前向きの退出についても、後押しできるような政策や環境が必要だと思っている。

北朝鮮、ロシア、中国とも隣接している日本が、ミサイルなどの科学技術が進化する中で、本当に国民の命と暮らしを守るだけの十分な防衛力を持っているのか。現実的な議論を積み上げながら、必要とされる防衛力、予算、財源を3点セットで考える。

合わせて、日米同盟の抑止力及び対処力を改めて点検し、アメリカとの信頼関係を深めていかなければいけない。国際社会と一緒に平素から信頼関係を築き、協力体制をつくっていくことが大事だ。

【小林共同代表】
デジタル化、イノベーションの創出といったことに関して、どのように取り組むのか。財政と社会保障を持続可能にするにはどのようにするべきか、また、脱炭素社会実現への工程はどう考えるのか。

【岸田氏】
債務、設備、雇用の3つの過剰をコストカットでこれまでしのいできた。その成功体験が強すぎたために、結果として、次の投資の意欲が高まってこなかったことがある。「成長も分配も」という形で、人や国内投資を重視していきたい。

財政を評価するのは、市場であり国際社会である。自分は大丈夫だと言い張っても、市場や国際マーケットがそうでなければ信任は維持できない。財政健全化の旗は掲げ続けるが、経済成長あっての財政再建という考え方も大事にしたい。

社会保障制度の持続可能性も維持することが、財政の持続可能性にもつながる。年齢ではなく、負担能力によって、社会保障を支える「全世代型の社会保障制度」に早く切り替えていくことが大事だ。

エネルギーミックスによって結果を出すことを考えなければならない。再エネ、省エネも大事だが、原子力も安全性を大前提としながら再稼働を進めていく。カーボンニュートラル実現へ向け、10年間で150兆円の投資が求められており、政府が呼び水となって、財政出動を行った上で、民間投資を集めて賄っていきたい。

【増田共同代表】
人口減少とそれに対する社会ビジョンについて伺いたい。少子化問題こそ、わが国が抱える最大のリスクであると認識している。問われるのは政治の力と見識ではないか。

【岸田氏】
少子化問題、人口減少問題は一つこれをやれば解決するという単純な話ではなく、あらゆるライフステージで、さまざまな政策を動員し、組み合わせるなど、複雑で手間暇のかかる取り組みだ。若い人たちの雇用の不安定さ、賃金の低さ、男女とも望むような形での働き方ができていないなどの課題がある。安心して出産、育児を行えるように、出産一時金の増額などにも取り組むほか、不妊治療の保険適用も4月から始まった。さらに、子供の貧困、ヤングケアラーなどの問題も浮上している。

中間層が苦労しているのは、教育問題と住宅問題であり、子育て世代中心にさまざまな支援を組み立て、メニューを用意し、一筋の串で刺されているという考え方を重要視している。

【佐々木共同代表】
政治の役割が重要になっているが、国民の政治に対する信頼感は低いままだ。

【岸田氏】
「国家か市場か」「政治か市場か」ではなく、「政治も市場も」ともに役割を果たす時代だ。政治と市場が一体化している権威主義的体制に対峙することを考えたとき、資本主義の必然的な変化、バージョンアップが必要だ。

その大切な政治の信頼が損なわれている。どうすればいいかは、人の心にも関わる話なので、答えは簡単ではない。あえて言うと、政治と有権者との間の「共感」がポイントだと思う。制度も大事だが、民主主義に参加する人間の共感が守られることが大事。国会議員や官僚が「自分たちが特別だ」と思った瞬間に共感はなくなる。

「人権と環境」重視する経済へ変革
泉 健太 立憲民主党代表との対話

変わらない日本、変われない日本、これが現在の経済の低迷や人口減少を生み出している。新しい時代は「人権と環境を重視する経済」に変えることが求められ、これは世界の潮流にも合致している。

人権と環境の双方に展望がないことを若い世代は身に染みて感じていると思う。学生時代の奨学金の借金を背負わされ、社会に出てから借金を返すところがスタートラインになってしまう。これは人権問題だ。若い世代が、「生き辛さ」を持たず、伸び伸びと経済活動ができるためには、働き方をもっと改善していくことが極めて重要だ。

生活安全保障の柱の一つに、教育の無償化を掲げている。学費の負担軽減策はもちろん、研究基盤の強化、研究開発の強化を訴えている。生産性向上のために付加価値を創造できるように社内教育を支援し、雇用が移転する際の社会人教育を支援していく。

さらに、LGBTQや同性婚、多文化共生など、多様な価値観を認めていかなければ、人材の流出につながる。多様性の包摂が必要だ。

一方で、立憲民主党は5月20日、ビジョン22「調和的な未来を創造するために」をまとめ、環境と成長の調和を訴えている。環境は大きな市場であり、立憲民主党は風力、太陽光、建設断熱、省エネなどの各分野で、2030年までに200兆円規模の投資を行い、年250万人規模の雇用創出を目指すプランを発表した。

現状では、わが国の環境投資はまだ貧弱で、政府の力点の置き方も不十分である。原子力発電は、この国の中で大きな役割を果たしたと思っている。しかし、国家として、次のステップに向かっていくために、長期的には大きな目標を掲げることは必要で、それが明確になることで、廃炉人材なども養成することができる。

省エネ分野、再生可能エネルギー分野において、日本が世界をリードするだけの人材を育て、そして市場を再び獲得していくことが求められている。

それによって、多くの企業が育ち、法人税収、所得税収の増加にもつながると考えている。

国家財政の持続可能性は重要で、歳出・歳入の改革で、財政健全化を実現していくことが必要だ。平成の30年は消費税収が伸びる一方で、所得税や法人税率は低下、格差が拡大し、教育格差にもつながった。税制改革と再配分機能の強化が必要だ。企業は社会の公器であり、法人税収も一定程度は確保すべきだ。

安全保障については、あくまで冷静で落ち着いた議論が必要だ。対話外交が重要なのは当然のことだが、立憲民主党は必要な防衛力は整備すべきだと考えている。宇宙、サイバー、電磁波など新しい分野については立憲民主党も対応する。ただ、核共有は非現実的だ。

民主党が政権に駆け上がった当時と比べて、今の野党の現状は程遠い。昨年の総選挙では野党が共同で戦う姿勢は示したが、政権構想までは示せなかった。この半年間は、野党を結び付けるというスタンスは取らず、まず、立憲民主党自身が何を考える政党であるかを確立することに注力した。

子育て応援トータルプラン策定へ
山口 那津男 公明党代表との対話

新型コロナウイルスのパンデミックの2年余りの間、日本の経済社会は大きな打撃を受けてきた。その上に、ウクライナ情勢の影響も受けつつあり、国民にさまざまな不安が募っている。不安を解消し、安心を届けていくために、具体的な施策について、裏付けを持って訴えていくことが大切だ。経済の再生と全世代を守る社会保障の構築、日本の安全保障の強化という3つの課題を訴えている。

昨年の暮れからすでに物価上昇は始まっており、政府与党は子育て世帯や生活困窮世帯への現金給付と、基礎年金受給世帯にも行き渡るような現金給付を行った。ロシアによるウクライナ侵略が起きてからは、全国総点検運動を行い、政府与党で総合緊急対策を決め、緊急の支援策を行った。

原油由来の燃料費の上昇を抑える取り組みと、地方自治体に地方創生臨時交付金1兆円を配り、学校給食や水道料金などの公共料金の上昇を抑えるため、地域の特性を生かした取り組みを行っている。

政治空白の間にも不測の事態に対応できるよう、5.5兆円の予備費を用意した。物価対応を行い、そのうえで、賃金の上昇を図っていく。税制、補助金、最低賃金などあらゆる政策手段を取って、上昇を継続的に行えるようにしたい。また、経済成長の柱であるデジタル化と脱炭素化の取り組みを連動させ、成長と分配の好循環を実現したい。

日本経済は新型コロナウイルス禍での停滞からようやく抜け出そうとしており、何としても、抜け出さなければならない。成長と分配は二枚羽根のプロペラのようなもので、どちらが優先するものでもない。

少子高齢化が進む中で、少子化対策として、生まれてから社会に巣立つまでの一貫したものとして展望できる子育て支援策の体系をつくることが重要だ。公明党は「子育て応援トータルプラン」を年末までに策定し発表する。出産育児一時金の大幅増額や、高校三年まで医療費を無償化すること、給付型奨学金の拡大などにも取り組んでいる。

全世代型に社会保障が拡充・整うことによって、とくに、若い世代の未来に対する希望につながっていき、それが少子高齢化の課題克服にもつながると考えている。働き方も含めたさまざまな視点から、男女の働き方や賃金格差を縮めること、男性の育児休業が普及することなど重ねていくことが大事だ。

日本の安全保障をめぐる環境は極めて厳しくなっている。力による一方的な現状変更が日本の周辺で起きないように、日本の防衛力を強化することと、日米同盟の抑止力・対処力を合わせて評価していかなければならない。対話による外交で緊張感を和らげる取り組みも重要だ。

憲法改正については、まだまだ衆参の議論のレベルのギャップもあるが、従来に比べて、議論されるようになった。ただ、自衛隊については、国民の大多数が自衛隊の存在や役割を肯定している。憲法をどこか変えなければ、自衛隊の仕事ができない、不足しているということではないと思っている。

大阪発、身を切る改革を全国展開
馬場 伸幸 日本維新の会共同代表との対話

日本の政治と政治家は、国内外で、誰もが認める大きな問題が山積している中で、重要案件の議論に臨んでいかない。そんな中で、令和臨調は、産学官など各界の有志が集まり、「日本をどうにかせんといかん」という思いで立ち上がった。その取り組みに御礼を申し上げる。

2年前から、日本維新の会、国民民主党、立憲民主党の有志と無所属の方々と一緒になって、勉強会「新しい国のかたち協議会(分権2.0)」をつくり、これからの日本の国のあるべき姿や国家像をどうすればいいのか、議論を積み重ねてきた。

通常国会の会期末で一定の案をまとめた。国会の事情で法案提出には至っていないが、近未来の日本の新しい国のカタチを問うていく法案を国会に出していきたい。

また、日本維新の会は「日本大改革プラン」を発表した。社会保障や税制、規制改革など国民の身近な問題に関する処方箋をすべてパッケージにして改革を実行する計画だ。その改革のエンジンとして、最低所得保障(ベーシックインカム)をはじめとする新しい制度を使う。

ベーシックインカムを導入する費用を100兆円と見立てている。税制、社会保障、年金、医療、介護などあらゆる行財政改革を通じ、格差社会を是正しながら経済の成長を実現していく。すぐに100兆円が生み出されるとは考えていない。足りない部分については、しばらく、国債を発行するつもりだ。

日本の構造を変えていくための国債発行は認められると考えている。格差社会が是正されて、真の意味での経済成長が実現すれば、国債発行は徐々に抑えられ、プライマリーバランスも整う。抜本的な構造改革を避けて、今の状況を続けるよりも、チャレンジすることが大事だ。

大阪で有言実行の改革をやってきた自負がある。税金で生活している議員側が定数を減らし、報酬をカットし、それによって行財政改革をフル回転させている。約10年で3000億円の改革の果実が生み出され、教育の無償化に注入してきた。

幼児教育の無償化、小中学校の給食費も無償化、中学生には塾代助成ということで1万円のクーポン券を提供している。私立高校の授業料の無料化は大阪が始めた。今春、大阪府立大学と大阪市立大学が経営統合し、新しい大阪公立大学が誕生したが、大阪府民に限り授業料を無償化した。

教育費は、若い世代の家計を圧迫している。教育無償化の実施により、子育て世代の家計費が少し助かって、保護者からは喜びの声が届いている。

大阪で行った身を切る改革を全国に広げたい。710人の国会議員が在籍しているが、正直な感想として、国家運営にコミットしているのは1割程度ではないか。無駄を排して、納税者のための政治を行う。

地域の特性に応じた地方創生が求められており、身を切る改革によって生み出す財源に加え、消費税は将来的に地方税に全額移管していくべきだと訴えている。自分たちで故郷を良くしていくことが大事だ。

「優しく強い経済」へ5つの提案
志位 和夫 日本共産党委員長との対話

ロシアのウクライナに対する蛮行に乗じて、今、敵基地攻撃能力や軍事費の倍増、核共有、憲法9条を変えることなどを求めて、大合唱が起こっている。しかし、軍拡で構えたら、相手も軍拡を加速するのは間違いなく、軍事対軍事の悪循環、いわゆる安全保障のパラドックスに陥る。

軍事費を2倍にするというが、財源をどうするのか。消費税を増税するか、社会保障費を削減するか、いずれも暮らしを押しつぶすことになるのではないか。

日本共産党は外交ビジョンを提唱し、東アジアに平和をつくる外交の重要性を訴えている。ASEANは、域内10カ国と日米中など8カ国でつくる「東アジアサミット」を地域の平和の枠組みとして発展させ、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約を展望しようという大構想を提唱している。

これが、いわゆる「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」であり、日本がやるべきことは、ASEANと協力して、AOIPを強力に推進するべきだ。

物価高騰の問題も暮らしを圧迫している。日銀の異次元の金融緩和が異常円安、物価高騰を招いていることは明らかだ。異次元の金融緩和をやめて、金融頼みではなく、実体経済を良くすることを最優先に位置付ける経済政策への転換を強く求めていきたい。

人々の暮らしが苦しいのは、働く人の賃金が上がっていないからであり、年金が減り続けているからであり、教育費が重すぎるからであり、消費税の増税で家計が傷んでいるからだ。弱肉強食の新自由主義が日本経済を冷たく弱い経済にし、持続可能性を損なっている。

賃金は、1997年をピークに実質賃金が平均年間61万円も減った。成長率では、OECDのデータによると、7年間の日本の成長率は6%だが、アメリカは25%、ユーロ圏は14%で、日本は世界で最も成長できない国になっている。

私たちはここを切り替えて、優しく強い経済にしようと5つの提案をしている。第一は消費税を5%に減税し、インボイス(適格請求書)を中止することだ。第二は、政治の責任で賃金を上げること。大企業の内部留保に時限的な課税を行って10兆円規模の税収を生み出し、最低賃金を時給1500円に引き上げるための財源に充てることを提案している。

第三は、物価高騰の中で大問題になっている年金削減の中止を求めている。教育費については高すぎる学費を半分にし、入学金を廃止し、小中学校の給食を無償にする。

社会保障は経済成長の足かせになるという議論はあるが、社会保障にお金をつけることが家計を支え、雇用を増やし、経済の成長を実現するという好循環につながる。

第四は、気候変動の危機打開へ向けた本気の取り組みだ。私たちは、2030年までのまとまった戦略を提起している。CO2を最大60%カットする。省エネと再エネを大規模に組み合わせ、原発は即時ゼロにして、石炭火力から撤退を図る。第五は、ジェンダー平等を図っていくことであり、男女の賃金格差の是正のために全力を挙げて取り組みたい。

「教育国債」で人への投資を強化
玉木 雄一郎 国民民主党代表との対話

日本は今、国家と民族の継続性に対して黄色信号が灯っている状態だ。国家には3つの役割がある。一つは産業を興し国民を豊かにすること、二つめは国を守ること、三つめは人を育てることだ。このうちの一つでも欠けると、国家の永続性は保てないし、実際にできなかった国は滅んでいる。

25年間にわたり、実質賃金指数が下がり続けている。これを変えない限り、問題は解決しない。「年金が下がった」「学費の支払いが難しくなった」となった時、その都度、給付を支給していると、短期的にはいいが、中長期的には持たない。

「頑張れば報われる」「給料が安定的に上がる」という経済構造を取り戻さなければならない。そのためにも人への投資を増やすことが重要だ。

私たちは、ESG投資の国版のような特徴を持つ「教育国債」を発行し、人への投資の財源にすることを提案している。闇雲に積極財政にするわけにはいかないが、将来の成長や税収の増加、納税者の増加につながる部分については、国債を発行してでも、今やるべきだ。

中国は20年間で科学技術への投資を23.4倍に拡大した。韓国は4.7倍、アメリカは2.6倍だ。これに対して、日本は0.9倍に留まり、増えるどころか減っている。科学技術の発展は未来への投資であり、緊縮財政下にあっても、積極的に投資すべきだ。

今の赤字国債の多くは、社会保障で足りない部分に充てられており、高齢者に給付が行き、次の世代には負担だけが残る。この教育国債の発行は、調達した財源を若い世代の育成に使い、20~30年経って、納税者になってから自分たちで返すという考え方だ。この方が、受益と負担が一致する。

雇用の流動化を促し、より生産性の高い分野に円滑に人が移る仕組みの構築が必要だ。次の働く場所に移ろうと考えた時、安心して転職でき、また、賃金が低くて、待遇が悪い場所からは喜んで離脱できる権利を与えることも必要だ。

求職者ベーシックインカムや学ぶことの無償化など、その間の生活を支える仕組みをつくり、円滑な転職を促すことをやらない限り、日本の賃金は上がらない。「太陽政策」における労働市場の改革を提案している。

賃上げをめぐっては、アメリカのバイデン政権は、ハイプレッシャーエコノミーによって労働市場をタイトにし、6%台の賃金上昇率を達成した。社会実験ともいえるが、日本にとっては参考になる。

「自分の国は自分で守る」というのが基本だ。防衛、エネルギー、食料など、大切なものは国内で作る体制を整え直し、富が海外に流出しない仕組みをつくることが重要だ。安全基準を満たした原発は再稼働するし、技術と人材を確保するためにリプレースも進めていく。

政治改革・国会改革で絶対にやるべきなのは、政治家同士の国会での議論だ。憲法審査会では、政治家が見識をぶつけ合っている。他の委員会も含め、政治家同士が国家観をぶつけ合うような議論ができる改革を、超党派で実現させたい。