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岸田文雄 内閣総理大臣との第2回対話を開催

令和国民会議(略称・令和臨調、事務局・日本生産性本部)は10月27日、岸田文雄 内閣総理大臣との第2回対話を都内で開催しました。岸田首相は、冒頭のスピーチの中で、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の実現と、国際秩序の立て直しが「政権の歴史的使命だ」と意欲を示した上で、「新しい資本主義」に関連し、「構造的な賃上げに最優先で取り組む」と述べ、日本の実情に合った新制度への移行を進めていくことを表明しました。

「構造的な賃上げ」最優先に挑む 「法の支配」集結の旗振り役に

岸田首相は「新しい資本主義」の実現に関連し、「デジタルやグリーンなどの成長分野に労働移動を円滑に促すことで、経済成長と賃上げの実現が可能になる」と指摘しました。そのために、労働者のリスキリング(学び直し)の支援や、成長分野への転職や転籍などの人材移動を後押しする労働環境の整備を急ぐ考えを示しました。

その上で、企業側にとっても、高い賃金が高いスキルの人材を惹きつけ、結果として生産性を向上させる好循環につながるというシナリオを描いていると語りました。

また、国際秩序の立て直しに向けた「新時代リアリズム外交」については、リアリズム(現実主義)の立場から国際関係を分析した国際政治学者、高坂正尭氏が説いた「力の体系」「利益の体系」「価値の体系」という3つのレベルの関係性を紐解き、ロシアのウクライナ侵攻を例に「権威主義的な統治と、自由民主主義との溝が表面化し、再び『価値の体系』をめぐる対立があらわになっている」と危機感を示しました。
その上で、「法の支配による安定と繁栄の旗の下に、世界のマジョリティを集結させるべきだ」との考えを示し、来年のG7広島サミットに向け、日本が旗振り役を担う決意を表明しました。
今回の会合には、令和臨調の共同代表や運営幹事、特別顧問など20数人が参加し、スピーチ終了後に非公開で対話を行いました。

官民が立場を超え、未来志向の議論を(スピーチ全文)

本年6月に引き続き、こうして令和臨調の皆さんと対話するための機会を設けていただきましたこと、心より感謝申し上げます。

6月の令和臨調発足大会で、私は、コロナの世界的なパンデミック、ロシアによるウクライナ侵略などを挙げながら、「ポスト冷戦の30年が終わり、新たな時代を迎えている」との時代認識をお示しいたしました。

その上で、新しい資本主義の実現と、国際秩序の立て直しを目指して、我が国と世界の課題を解決することが、岸田政権に与えられた歴史的な使命であると申し上げました。

岸田政権の発足から、ちょうど一年。この間、正にこうした思いを持って、この国の舵取りに全身全霊を傾けてまいりました。

これから年末にかけて、「新しい資本主義」、「新時代リアリズム外交」など、これまで議論してきた様々な政策を実行に移していくための正念場を迎えることになります。

本日は、今の視点から、具体化しつつある様々な政策と今後の展望について簡単にお話をしたいと思います。

まずは、「新しい資本主義」についてです。これまで、政府の内外で様々な議論を積み重ねてきましたが、新しい資本主義の実現に向け、最優先で取り組むべきは、構造的な賃上げであると、今考えています。

現代の経済社会は、デジタルや、グリーンといった新たな潮流により、これまでにないスピードで変化を続けており、非連続なイノベーションが次々と生じる時代です。これは、成長の方向性が見えていたかつての高度経済成長期とは異なります。

この非連続なイノベーションの起こる成長分野に、円滑な労働移動がなされるからこそ、経済成長と賃上げが実現できると考えています。そうした観点から、労働者のリスキリングと成長分野へのチャレンジをサポートする必要があります。

また企業の立場に立てば、高い賃金が、高いスキルの人間を惹きつけ、それが生産性の向上につながり、更なる賃上げにつながっていく、そうした好循環を生み出していく構造を作ることになります。

人への投資、労働移動の円滑化、所得の向上、この3つの課題に対し一体的な改革に取り組んでいきます。

まずは、5年で1兆円の投資を行い、個人のリスキリングを中心に、人への投資を大胆に支援していきます。

また、来年6月までに労働移動円滑化とリスキリングについての指針を官民で策定し、個々の企業の実情も加味しつつ、年功賃金から日本に合った形での職務給への移行を進めることで、労働移動円滑化を目指します。

新しい資本主義のもう一つの象徴的な政策は、GX、グリーン・トランスフォーメーションへの取組です。

GXは、経済・社会・産業の大変革であり、年末に向け、GX推進のためのロードマップの策定に向けた検討を行っています。

成長志向型カーボンプライシング、規制制度一体型の大胆な資金支援、トランジション・ファイナンス、アジア・ゼロエミッション共同体の実現といった、政策イニシアティブを具体化していきます。

これらの他にも、新しい資本主義の下で、スタートアップ育成や、科学技術・イノベーションへの投資、資産所得倍増プランなど、成長に向けた改革と投資を進めてまいります。

次に、新時代リアリズム外交について申し上げます。

かつて、高坂正尭先生は、「各国家は『力の体系』であり、『利益の体系』であり、そして『価値の体系』である。したがって、国家間の関係はこの3つのレベルの関係が絡み合った複雑な関係である」。こうした指摘をされました。

ソ連の崩壊によりイデオロギーの対立は一旦終焉し、世界は「価値」から「利益」にその重点を移したように見えましたが、ここ10年ほどの間に、いわゆる権威主義的な統治と、自由民主主義との溝が表面化し、再び国際社会において、「価値の体系」をめぐる対立があらわになりつつありました。

そうした中で起こった、今般のロシアによるウクライナ侵略は、力による秩序破壊を目論む暴挙であり、時計の針を一気に数十年巻き戻すものであったと捉えています。

私は、力が国際秩序を揺るがしている中だからこそ、改めて、誰もが尊重し、守るべき普遍的価値の重要性を訴え、できる限り多くの国とこれを共有することにより、法の支配による安定と繁栄の旗の下に、世界のマジョリティを集結させるべきと考えています。

「自由で開かれたインド太平洋」の推進や、グローバルサウスと呼ばれる国々との関係強化に力を入れているのは、こうした思いからです。来年のG7広島サミットに向け、日本が、この旗振り役を担っていきます。

一方で、日本と日本国民を守り抜くためのリアリスティックな視点と体制も必要不可欠です。

日本の防衛力の抜本的強化、日米同盟、有志国との安全保障協力の強化を進めることで、抑止力・対処力を高め、平和の実現に向けた取組を進めてまいります。

これだけ変化が大きい時代です。官だけで全ての課題に対応できるものではありません。官と民が立場を超え、共通の課題に対し、議論を積み重ね、同じ思いを持って行動を積み重ねることによってはじめて、この激動の時代を乗り越えられます。

令和臨調は、正に、そうした立場を超えた未来志向の議論を行うことができる場であると捉えています。是非、侃々諤々(かんかんがくがく)。この国を持続可能なものとして、我々の次の世代に引き継いでいくための議論を大いに行っていこうではありませんか。

改めて、本日はお招きいただきまして、ありがとうございました。