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令和臨調「超党派会議」中間報告会 開催報告

令和臨調「超党派会議」が中間報告

自民、立憲、維新、公明、国民の超党派の与野党国会議員有志85人で組織する令和臨調「超党派会議」(正式名称「日本社会と民主主義の持続可能性を考える超党派会議」)は5月27日、これまで議論を重ねてきた「統治構造・政治改革」「経済・財政・社会保障」「人口減少・地域・国土構想」「科学技術・イノベーション」のテーマ別の4部会で「中間報告」を公表しました。

関連資料 中間報告会の様子

この日の報告会は都内で開かれ、令和臨調や超党派会議の関係者、報道関係者など約200人が集まりました。

まず、小渕優子 超党派会議筆頭代表世話人が開会のあいさつを行いました。「2024年春に4つの部会が立ち上がり、それぞれ10回から20回の会議を重ねている。超党派での合意は難しく、しかも、この間に衆議院選挙を挟んだが、めげずに議論を重ねた。超党派会議の主な目的は、日本が抱える課題について問題意識を共有し、合意形成をするための基盤をつくることだ。今回の中間報告が合意形成の基礎作りの一つになり、日本の未来を繋ぐきっかけになればと思う」と述べました。

この後、茂木友三郎 令和臨調共同代表が来賓あいさつを行いました。「4つのテーマ別の部会では、平日の夜に会合を開催し、議論を重ねてこられたと伺っており、心から敬意を表する。今、世界は歴史的な転換期を迎えており、世界各国で民主主義と経済社会の持続可能性が問われている。党派を超えた国会議員が、これ以上の先送りが許されない諸課題と正面から向き合い、合意形成を目指す試みは極めて意義があり、先行き不透明な今日の政治の中で一縷の希望だ」と述べました。

熟議と効率が両立する国会改革

第1部会「統治構造・政治改革」が取り組んだテーマは、「熟議と効率の両立に向けた国会改革の早期実現」です。

30年ぶりの少数与党内閣下において、与野党はともに責任を共有し、新たな国会の創造に向けて知恵を出し合い、改革に取り組む必要があります。改革のキーワードは「熟議の深化」と「効率性・合理性」です。その両立を可能とする国会改革が国民から求められています。

提言は、今国会中からでも取り組むことができる課題に絞りました。また、同時にこれらの改革と分かちがたい関係にはあるものの、今後さらに検討を要する課題について併せて言及しました。

具体的には、提言では、「効率的で合理性ある国会運営」について10項目を示し、「熟議の深化に向けた国会運営」について12項目を示しました。今後の更なる検討課題については、通年国会の検討など5項目を示しました。

経済社会の持続可能性の維持・向上を

第2部会「経済・財政・社会保障」は、日本国民ならびに日本社会にとって中長期的に重要な課題について、政治的論争の対象とすることなく党派を超えて議論すべきとの考えの下、経済・財政・社会保障をテーマとし、経済社会の持続可能性の維持・向上に向けて議論を重ねてきました。

現段階で、参加者が特に強い問題意識を共有した3つの課題について議論しています。

1つ目の経済と財政では、経済成長と財政健全化の両立を目指すことと、経済・財政に対する市場の信認の確保を議論しました。

2つ目の財政と社会保障では、経済・財政・社会保障の将来像の見える化と、それを実現する財政推計組織の創設の検討について議論しました。

3つ目の社会保障と経済では、全世代が活躍できる社会を実現し、現役世代の社会保険料負担の軽減を進めることの重要性を確認しました。

国のかたちをリ・デザイン

第3部会「人口減少・地域・国土構想」の中間報告のタイトルは、「日本をリ・デザインする」です。明治以来の日本の国のかたちを大転換し、明治維新で目指した「近代国家」確立のための「国のかたち」から、世界のフロンティアを走る「未来国家」確立のための「国のかたち」へデザインし直すことを提案しています。

提言項目の1つ目は「首都のリ・デザイン」で、首都機能移転の議論再開や、地方ブロック中心都市の経済社会機能の強化、東京のリ・デザインなどを盛り込んでいます。

2つ目は「国土のリ・デザイン」で、国土活用・管理法の制定や広域連携強化と地域生活圏の形成、森林・農地など滞留不動産の「所有」から「活用」促進、離島活性化による領海等の保全を掲げています。

3つ目は豊かな暮らしへの「リ・デザイン」で、地域の困りごと解決による「暮らせる」生活環境の実現や二地域居住、多地域居住等の促進による「新たなふるさと」創造などを示しました。

20項目の主要論点を整理

第4部会「科学技術・イノベーション」では、「新しい指摘」や「独自の洞察」、「今後の社会・政策に影響を与えうるポイント」を厳選して、全体を俯瞰しながら重要度や新規性の高い内容を中心に20項目を整理しました。

例えば、「21世紀は科学技術と政治経済が不可分という認識の共有」や、「日本の"リスク過敏"が経済停滞を生む可能性」、「知財・技術が大企業に"塩漬け"されてベンチャーに流れない」、「"先手の立法"がイノベーションを促進する可能性」などです。

また、研究は「真っ暗な部屋で猫を探す作業で、粘り強さと感性が重要」や「6・3・3・4・X構想:大学院こそ世界トップ人材を集める場に」など大学や大学院の役割を考えるポイントもあります。

これらの20項目は、全体を通して、今後の議論の軸となりうるポイントであるとしており、引き続き、日本の科学技術・イノベーション力の向上へ向けた議論を続ける方針です。

最後に、大島理森 超党派会議特別顧問(元衆議院議長)が閉会あいさつを行いました。「民主主義は、権力闘争が基本にあり、議論による統治とも言われる。民主主義の行き過ぎが世界中に現れている。今回の中間報告の発表を聞き、分断ではなく包摂の姿を感じるし、議論をしつつも、合意形成をしようという努力は、日本の民主主義の姿だ。"明日から今をどう考えるか"という視点に立った議論であり、素晴らしい中間報告だった。心から敬意を表したい」と話しました。