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提言「『ガバメント・データ・ハブ』の構築と『勤労支援給付制度』の導入を」に関する記者会見開催報告

令和国民会議(令和臨調)は4月25日、都内で記者会見を開き、公平・公正な税と社会保障制度の実現をめざす提言「『ガバメント・データ・ハブ』の構築と『勤労支援給付制度』の導入を―公平・公正な税と社会保障制度の実現に向けて―」を公表しました。税・社会保障などに関する国民の情報を一元的にまとめ、関係行政機関が相互利用する基盤「ガバメント・データ・ハブ」(ハブ)の構築と、給付改革における優先度の高い取り組みとして低中所得層の子育て世帯の負担を軽減しつつ勤労を支援する「勤労支援給付制度」の導入を求めました。

提言「『ガバメント・データ・ハブ』の構築と『勤労支援給付制度』の導入を」 記者会見の様子

公平・公正な税と社会保障制度の実現を
行政情報基盤・勤労支援給付制度を提言

この提言は、令和臨調の「財政・社会保障」部会がまとめたもので、共同座長の平野信行氏(三菱UFJ銀行特別顧問)と中空麻奈氏(BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長)、主査の小林慶一郎氏(慶應義塾大学教授)と伊藤由希子氏(慶應義塾大学教授)が記者会見をしました。

ハブは、個人にとっては、世帯の構成員や扶養する親族の情報などをマイナポータルに登録すれば、それらの情報を税や社会保障の事務手続き上必要とする組織に提供することができ、その後の手続きの進捗についても確認することができるものです。

また、行政機関にとっては、マイナンバー法に基づいて、所得税・住民税・社会保険料に関して必要な情報を相互利用することで、効率的に情報を収集し、正確で公正な給付を行うことができます。

平野氏は「現状、ガバメント・クラウド(認定クラウド)の整備が省庁の所掌業務単位で進められているが、ハブを構築するうえでのグランドデザインやシステム設計が不足しており、早急な対応を求めたい」と述べ、ハブ構築を念頭に置いた取り組みに切り替えるよう促しました。

一方、早急に取り組むべき施策として、構造的に税・社会保障負担が重くなっている世帯に着目した「勤労支援給付制度」を提案しました。現状でも勤労者層の税・社会保険料の負担の情報が把握できるため、ハブの構築を待つことなく、実施することが可能です。

現行の制度上、支援が相対的に薄い低中所得の子育て勤労者層を対象に、社会保険料負担を軽減するとともに、夫婦が「年収の壁」によって就労を抑制することなく働くための給付を給与収入に応じて設定します。財源については、「応能負担の観点と、継続性・安定性の観点から、税の所得再分配機能を強化することを第一に検討すべき」と指摘しました。